1.はじめに 
 2.研究・教育方針 
 3.研究テーマ 
  3.1安全と防災
  3.2設計と建設 
  3.3感性と力学 
  3.4環境と構造 
 4.研究室の学生の声 
 5.むすび 
  
 6.研究室の紹介記事 
 7.旧「研究室の紹介」 
 
 3. 研究テーマ

 3.1 安全と防災:斜面・構造物の安全監視


  一言で斜面といっても,長大で広い領域にわたる人工的な斜面から自然斜面まで千差万別である.それらに共通して言えることは,崩壊すれば大きな被害を及ぼすこと,しかしながら,その予測が難しいことである.斜面に対する力学や地質学的な優れた理論は多くあるが,結局のところは実態を把握(計測)しなければ,なかなか確信を持ったことは言えないであろう.ところが,計測方法に目を向けると,特に,長大・広大な斜面を監視できる機器は限られ,現場の環境に耐え安全監視に応える精度を持つものはなかなかない.

 そこで注目したのがGPSである.1990年に入る直前のことである.当時GPSは,長基線測量法として大いに期待されていたが,変位計測システムとしては,高価,低精度,使いにくい,という状況であった.しかしながら,GPSであれば大規模な斜面に対して自動計測できる可能性があり,その発展性に期待して研究を始めた.

 現場やメーカーらとの共同研究によって(現場は計測する場の提供と実用化のための必要事項の整理,メーカーは連続自動計測センサーの開発,大学は精度向上のためのデータ処理方法の開発と研究取りまとめ,と役割分担して),それまでは,せいぜいcm単位の精度でしか計測しか出来なかったシステムを,mm単位の三次元変位が自動連続的に計測できるシステムに開発できた.最近では,GPSの究極の誤差要因といわれていた気象の影響や,実務上よく出会う上空障害物の影響に対する対処法を開発した.

 このシステムは,地すべり,道路斜面,地盤開削工事,トンネル,ダムなどの安全監視のために,全国で200を超える適用事例がある.中国高速自動車道の斜面にも数多く設置されており,宇部から下関に向かうときに数カ所見つけることができる.


 また,拡散型レーザー変位計の研究開発も進めている.これは,レーザー変位計の一種だが,常時設置することを念頭におきレーザーを拡散することで人体に影響のない安全設計としている.さらにレーザー拡散したことにより,降雨や霧,障害物などに強い機能が生まれた.実験によれば光波測距儀が使えないような気象環境でも本機であれば問題なく計測できるものである.現在,斜面の安全監視だけでなく,地下空洞などの構造物の維持管理にも適用されている. 


 さて,このように計測手段が格段に進んでも,これだけでは,実際の安全監視においては片手落ちである.計測結果を評価して,安全かどうかの判断,また,将来の安全性の予測をするための方法がなくてはならない.

 GPSによってこれまで得ることが出来なかった3次元変位を連続で高精度に得られるのであるから,評価の手段も計測結果の質,量を最大限生かしたこれまでにない方法を開発している.その基本的な考え方を「変位モニタリング・アプローチ(DMA: Displacement Monitoring Approach)」として提唱している.



 
 
 

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